さらば先代 と 二代目参上
弟子の あんこ が 洗濯機を 壊した
長年連れ添ってきた 頑丈な奴 でした
少し マイコン の 調子が 悪かったけど
健気に 洗濯物 と 格闘して 洗い上げていた
ところが あんこは 自分より 古い物 に 敵対心 を 抱いたのか
洗濯物 を ギュウギュウ に 詰め込み
水を 一杯入れて 一挙に 洗おうと ずぼら を したのだ
洗濯機 は ついに 重みに 耐えかねて ガクッ と 沈み込んでしまった
悲しく 点灯する マイコンの 灯り
チカチカ と 涙を 流すように 儚げに
ついに 力尽きたのか プスン と 動きを 止めてしまった
見つめ合う あんこ と 僕
かみさんに 報告すると 「 もう寿命だったのかもね 」 と あっさり…
新しい 洗濯機 は 東芝 の ザブーン くん
最新型 の 大きなドラム式 の 頼もしそうな二代目
電気屋さん の お兄さんは パッパ と 設置して
先代さん を 外の方へ かたづけてしまった
可哀相なのは 乾燥機だ
何の落ち度 も 無いのに 一緒に 連れ去られてしまった
あんこ は 先代さん を チラッと 横目で見て
「 ちょっと 悲しそうですね 」 と 一言
バカ野郎! お前が やったんだぞ!
その後 あんこは ザブーンくんに うっとり♪
試験運転 で 凄い 凄い と 大喜び
ついでに 僕も 大喜び
かみさんも 満足げ だ
気が付かなかったけど
先代さんは いつの間にか 乾燥機くん と 消えていた
こうして 我家の 洗濯機交代劇 は 終わった
始まりが あれば 終わりが来る
当たり前の ようだけど 先代さんに 「 ありがとう 」 の 言葉を 捧げる
あんこ! 物は 大事に 扱ってくれ
物にも 魂は あるのだから
でも あんこにも 優しい気持は あるようだ
僕の 知らない所で 先代さんの 写真を 撮っていたのだ
写真の 先代さん は 大きい口を 開けて
泣いている様に 見えた
by hayashiyashinpei | 2013-08-10 10:33 | 落語・寄席・噺家